「女性が絶対に嘘をつけないことって何だと思いますか?」
(男性も同じ)
サイコパスでも変態でも男を手玉に取るキャバ嬢でも関係なく嘘をつけないこと。
わかります?
僕はこう結論付けます。
【10代の頃に好きになったもの】
↑
コレです。
実体験から、調査の結果からもこれは明らかです。
先日。
僕はデートに行ってたんですね。
24歳。
僕のひとつ下。
非常に美しい娘さんです。
目鼻立ちがくっきりしていて、髪は細く肩や首周りなども非常に華奢です。
もちろん美しさだけではなく本なども嗜むし、仕事はきっちりしてる。
尊敬するところのある女性です。
ただし。
この女にはどうしても理解できないことがあった。
彼女。
ジャニーズが好きなんです。
それも異常に金髪が好きなんです。
家なんかに招かれていくと決まってジャニーズを流し始めて、うっとりとそれを見ている。
僕は「不可思議」でたまりませんでした。
こうも文明的な女性が、低俗なアイドルに入れあげている。
部屋を見回すとジャニーズのグッズなどがたくさんあります。
彼女の収入は一般に比べると少なくないとはいえ、それでもこうもポンポンとグッズを買うのは大きな出費でしょう。
…この女はとても非合理的だ。と思わざるを得ませんでした。
言葉を選ばずにいうと知能は高いくせにアホなのです。
でも、ハタと考えてみたんですね。
非合理的。非合理的。
と彼女を心のうちで馬鹿にして入るが、こと自分はどうなのか…と。
…東京にいたときモデルとお茶する機会があれば、ラウンジに行って1杯3,000円するカクテルを飲まなかったか?
…インスタグラマーとアフタヌンティーと聞けばルンルン気分で鼻の下を伸ばしながら出かけて行かなかったか?
…ねぇ今新宿いた?とこれまたアベマの女の子に言われたときに心弾まなかったか?
…はい。
……そうですとも。
私は行きました。
今日は人生の夢が叶う最良の日だ!
と思って、「モデル」というものに会いに行きました。
目の前のこの子がジャニーズを好きなのはゆめゆめ馬鹿にはできません。
モデルというのはクリスマスや正月のようなもので、会う前は楽しくとも、過ぎ去るとさほどでも無いものなのです。
ただの願望や幻想にしか過ぎません。
一時の憂さ晴らし気の紛れでしかない。
幻想を追っているのは僕もこの子も同じ。
男も女も幻想の虜であることには違いがないのです。
それでふと考えたんですね。
なぜ人はこんな風に欲望を持ち、幻想を追うのか?
深夜0時。安いハイボールを飲みながら。
横ではジャニーズの曲が相変わらずかかっています。
その画面に写ったジャニーズや金髪の男たちをうっとりと見つめる女。
僕にひとつ仮説が浮かんできました。
【10代の頃に強烈に欠乏していたもの。欲しいと思ったもの】
それが回り回って僕達の人生に欲望を与えているのではないか?
僕の場合に限って言えば確かにそうです。
思春期真っ只中の10代の頃は勉強漬け。
僕は見てくれもあまり良くなかったもんですから女性には近づけなかった。
次第にマンガやアニメにどっぷりとハマった時期がありました。
確かそのときに好きなキャラクターが読者モデルという設定だった。
…ここまで思ったとき。
頭の中で何かの結晶が弾けて結ばれるような感覚がやってきました。
繋がっていない頭の回路が繋がった。
今まで見えなかったものが見えるようになった。
宇宙から何か教えられているような、視界が開けるような感覚です。
なるほど。
どうやら自分は10代の頃に掲載された好き嫌いや価値観から逃れることはできないようです。
とうてい振り払うことなど不可能なようです。
…僕はハイボールを飲んで酔いに酔いました。
気づけば時刻は深夜2時。
横にいるこの女はいつの間にか、うつらうつらです。
僕は相変わらず画面の向こうで歌っている人に嫌気がさしてテレビをプツンときりました。
僕は彼女の目を覚ますために話題をふってみることにしました。
「なぁ。10代の頃に好きやったマンガある?」
「うん。◎◎◎という漫画が好き。あれだけは3周した。性格も見た目もどタイプやねん。口悪いのも好き。」
と食い入ったように返事をしてくれました。
僕はここで思ったのです。
あぁやはり。
その漫画は僕も知っています。
金髪のサディスティックな…いわゆるドSなキャラクターが出てきて、
すったもんだの末に女性と結ばれる漫画です。
彼女は好きなの金髪のジャニーズ。
今、深夜の2時に彼女の家に僕はいます。
僕の髪は金色でした。
彼女は僕に何かの幻影を見ているようでした。
彼女の目を見ます。
二重でひどく大きい。
抱きすくめてみた。
肩も異様に華奢。首は長い。
160cm。43kg。
僕も彼女に10代の幻影を見ているようでした。
何を美しいと感じるかといった美的感覚は時代によって変わります。
胸がたかなって頭にアドレナリンが放出されるのは、ただの幻です。
でも僕は抗えないものを感じました。
僕はそのまま彼女の肩を抱くことをやめませんでした。
…これでいいじゃないか。
そう思いました。
誰の心の中にも幻影はあって。
それから逃れることはできません。
僕もそう。
あなたもそうです。
さて今日伝えたかったのは、何の変哲もない。
こんな話です。